働き方改革で有給休暇が義務化?⑤育休時や退職時の扱い
目次
第一回はこちら↓
育休・産休からの復帰の場合
可能な限りの有給休暇を取得させれば良い
条文上は最低5日の有給を取得してもらう必要があります。厚生労働省も同じ見解に立っています。一方で、復帰した日から次の有給付与まで4日しかないのに5日の有給を取らせることは出来ませんので、このようにそもそも不可能である場合には、違法にはならないとされています。ただ、4日あるのであればその4日間は有給を取らせる必要があるでしょう。
復帰の時期についての話し合いと同時に、復帰後の有給取得についてもあらかじめ話し合っておいた方が良いと思われます。
自主退職の場合
先ほどの育休や産休と異なるのは、次の有給付与を待たずに退職日が到来する可能性があることです。ただ、条文上は「1年未満の期間が生じた場合はその期間に与えなければならない」と書かれているので、退職予定者の場合にも5日以上の有給を取得させる必要があります。
もっとも退職予定者の場合は、有給を消化しきってから退職することも多く、原則として一定期間(例えば2週間)を置いて退職するので、あまり問題になるケースはないと思われます。
一方で即時退職(即日)の場合は、そもそも有給を利用できる日が存在しませんので、有給を5日取得させる義務は発生しないものと思われます。
解雇の場合
解雇予告と有給休暇のかねあい
解雇予告手当を支払えば解雇日を言渡し日にできることから、解雇予告手当さえ支払えば良いようにも考えられます。
私としては、「有給を5日指定した上で、残りの日数分について解雇予告手当を支払う」という進め方が法律上無難な気がしております。もっとも、解雇予告手当で計算する方が1日あたりの賃金が有利になる可能性もあるので、紛争予防の観点からはどちらか有利な方で計算する方が望ましいでしょう。
即時解雇の場合は有給休暇を取得させる必要はない
即時解雇の場合、理屈上は有給を取得させる義務はないと考えられます。
もちろん即時解雇が適法であることは絶対条件ですが、従来も「有給日数にかかわらず即時解雇しても良い」とされてきたことを考えれば(場合によっては解雇予告手当も不支給)実際上も取得させる義務まではないものと思われます。