働き方改革で有給取得が義務化?②計画取得させる際に気を付けること
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記事更新しました。皆様は就業規則の見直し等は済んでおられるでしょうか。
働き方改革で有給取得が義務化?変更の6つのポイント https://t.co/EtnjhNVLaR— STO法律事務所 (@law_sto) 2019年4月25日
わかりました。2019年4月に始まったばかりなので、固まった見解や裁判例が無く、今後運用も変わっていく可能性はありますが、参考程度にお伝えします。
有給取得日を会社側で指定するタイミング
休暇に関する事項は就業規則の「絶対的必要記載事項」であるため、使用者が時季指定をするためには、対象労働者の範囲及び時季指定の方法等について就業規則に記載する必要があります。
基準日を統一したり、計画的付与を導入したりする場合には、就業規則の定めも少し複雑になり、種々の手続も必要になりますので、場合によっては専門家に作成依頼をした方が良いケースもあると考えられます。
働き方改革で有給取得が義務化?変更の6つのポイント / STO法律事務所
すぐに指定するとは決められていないので、ギリギリになって慌てることの無いようにさえ気をつければ大丈夫です。
有給付与後ただちに指定する必要はない
有給が付与された後すぐに取得日を指定する必要はありませんので,1年の途中で指定してもかまいません。但し、有給消滅間際になって、労働者が有給を全く使っていなかったので5日無理やり休ませたという場合には無効と判断される可能性が十分にあります。
本来的には有給取得は労働者の権利であり、いつ休むかは労働者が自由に決められるというのが法の趣旨となっているからです。
ギリギリに慌てないような有給管理を
労働者の意見を尊重して指定しなければならないともされているので、会社側の有給管理上のミスを労働者に押し付けるわけにもいかないように思えますし、いきなり5日も休めば仕事も溜まるでしょう。
別の者が有給取得者の代わりに仕事を処理するなどし、有給によるブランクを埋めてくれる場合には、5日まとめて休ませても良いかもしれませんが、ギリギリまで5日間の有給が取れていないような職場であれば元々業務過多の可能性があり、他の労働者をまわすこともできないような気がしています。
そもそも本来であれば5日以上の有給があるわけであり、5日与えれば他は働かせていいわけでもありません。有給ありきで労働環境を設定することが大事だと思います。
前年度からの繰越有給と有給取得義務の適用基準の関係
前年度の付与日数は有給取得義務の適用基準に含まない
年単位で10日以上か判断します。例えば、前年度に5日の有給が与えられ、今年度に新たに6日の有給が与えられる労働者の場合、前年度の有給を使っていなければ一時的に11日の有給を保有することになりますが、この場合には5日の有給取得義務は発生しません。
時間単位での有給取得指定
時間単位の有給消化は指定出来ない
条文上は、時間単位の有給制度は指定対象の有給となっていないため、時間休を指定することはできないと考えるのが素直な解釈だと思います。
時間単位制度は、通院やお子様の送り迎えなどに利用出来るメリットがある反面、2時間休んだ日に2時間残業した場合でも有給が消化されることから、デメリットもある制度です。このような点から、あえて除外されたのかもしれません。
したがって、今回のケースで言えば、3時間だけ有給を指定して取らせることはできません。
半休(半日休)は指定しても良い
いわゆる半休は、就業規則に書かれている場合はもちろん、制度化されていない場合でも労働者が希望すれば、会社は半休を取らせることができると実務上考えられています。但し労働者が全休を希望している場合に半休を取らせることは通常できません。
理屈としては時間単位制度の一パターンのような気がしますが、厚生労働省の通達では、労働者が半休を希望すれば、0.5日としてカウントした上で有給を指定できると記載されています。となると、労働者が希望すれば4時間の半休を取らせればよいことになります。
私としては今一つピンときませんが、今までの実務や管理上の問題などから半日単位での付与は問題がないと厚生労働省は考えたのかもしれません。裁判例で半休制度を肯定するものもありますが、明確な条文が無いので裁判所がどのように判断するのかという部分はいまだなお不透明な点が残っているように思います。