働き方改革で有給取得が義務化?変更の6つのポイント

事務局
先生!先生!
周藤弁護士
何でしょう、久しぶりですね。
事務局
先生が記事を更新しないからでしょうが!
4月にして「あけましておめでとうございます」ですよ私!!!
周藤弁護士
おぉ・・・まぁ、世の中は新年度だしあけましてでいいんじゃないですかね。
事務局
「あけましておめでとうございます」って言ってる新入社員見たことあります!?
周藤弁護士
無いです。で、どうしました?
事務局
あぁそうそう、働き方改革?で有給休暇を取らせるのが義務になったらしいじゃないですか?なので明日から1年有給休暇で休もうかと!
周藤弁護士
(そんな制度まかり通るわけねぇだろ)
義務となっているのは5日だけですよ。
事務局
えっそうなんですか?なーんだ。
ちなみに5日の有給が付与されてない人ってどうなるんですか?有給が生えてくるんですか?
周藤弁護士
生えません。そもそも対象となるのは「10日以上有給が付与されている」労働者に限ります。
事務局
えーー。じゃあ取らされる前に全部使い切っちゃえば今度こそ5日生えますか!?
周藤弁護士
その飽くなき生やす情熱は別のところに回してもらえるかな?
労働者が自主的に取得したり、計画的付与で既に5日取っていれば追加で取らせる義務はありません。
トータルで5日取っていれば良いという制度です。
事務局
じゃあ私の有給は次の付与までもう使えないんですね・・・
周藤弁護士
(使い切ってたのかよ・・・)
事務局
もう諦めるんで、他に気を付けるポイントとかあります?
周藤弁護士
(諦めた途端に雑になったな)
先ほど挙げた2つを含めて、6つほどポイントがあります。詳細は後述するとして、ポイントだけ下記にまとめておきます。
年10日以上の有給が付与される労働者が対象有給付与から1年以内に消化させる
労働者の意見を聴いて消化日を決定取得済や計画付与による消化数を含めて5日
有給休暇管理簿を作成し保存時季指定は就業規則に定める
事務局
なるほどー、じゃあこのあたりを満たせていない会社は令和を迎えられないわけですね。
周藤弁護士
そこまでは言いませんけど、平成の終わりに整理しておいた方が良いではありますね。

労働基準法の改正内容

今までは、労働者が申し出ることにより年次有給休暇を取得していました。しかしながら、「周りも働いているから」「何か言われるかもしれない」「査定に響くかも」などの理由で、申し出るのがためらわれる方も多く、日本の有給取得率は約半分程度、つまり有給の半分は権利行使されないまま消滅していました。

そこで、今回(2019年4月)の労働基準法改正により、条件を満たした労働者(管理監督者含む)については、使用者が5日間の有給を取得させることが義務となりました。 この場合における年次有給休暇を取得させる行為を「時季指定」といいます。

したがってこれからは、年5日の年次有給休暇を消化していない労働者がいれば、使用者側が年次有給休暇を取得させなければなりません。「労働者から申出がないから」といって労働者の自主性に任せることは通用しなくなります。 そして、違反した場合には、30万円以下の罰金が科せられる可能性が出てくるのです。(労働基準法第120条第1号)

改正の6つのポイント

対象は年次有給休暇が年10日以上付与される労働者のみ

パートタイマーなどで年10日未満の年次有給休暇しか付与されない労働者には適用がありません。前年度からの繰越と合計して10日以上の年次有給休暇を保有することとなった場合であっても、労働基準法の条文の解釈からして適用はないものと考えられます。

これらの労働者については、今まで通り労働者の申出を待ってから取得させることとなり、使用者側で年次有給休暇を消化させるには、計画的付与の手続が必要となります。

一方で、管理監督者の方であっても、年10日以上の年次有給休暇が付される場合には年5日以上は年次有給休暇を取得させなければなりません。

「基準日から1年以内」に5日以上の年次有給休暇を消化させる

10日以上の年次有給休暇が発生した日を「基準日」といいます。労働者は入社半年後に最初の年次有給休暇が発生するのが通常です。したがって、中途採用者がいる場合には労働者ごとに基準日が異なるため、管理が複雑になる可能性もあります。

会社の規模によっては、基準日を就業規則等で統一することが労働基準法上は望ましいかもしれません。

使用者が年次有給休暇を取得させる場合、労働者の意見を聴く必要

労働基準法施行規則第24条の6に定められています。

この改正によって例えば、労働者が年次有給休暇を取得しないまま1年が経過しそうなギリギリの段階で、年次有給休暇を取得させる会社が出てくるかもしれません。しかし、そもそも有給休暇は労働者に計画的にかわるがわる使用させるべきですし、何より本来的には「年次有給休暇は労働者が自由に取れる」のが原則です。

有給取得の促進と計画的な利用をさせなかった使用者側の都合で、労働者の希望に沿わない有給取得を強制させるわけにはいきませんので、このような条件が付されたものと解されます。

取得済や計画的付与による有給休暇については5日から差し引く

例えば、1年間で労働者が自主的に5日以上の年次有給休暇を取得した場合には、使用者側で有給を取得させる必要はありません。また、労働者が3日有給を取得していれば、使用者側で取得させなければならない有給は2日で足ります。

既に計画的付与の制度を導入していた場合には、その日数分についても差し引かれますので、例えば夏季休暇について5日間の計画的付与制度を導入していた場合には、基本的に有給取得させる必要はありません。

要するに、取得方法はどうあれ最低5日間は有給を使うというシステムだと理解しておけばとりあえず良いと思います。

労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければならない

労働基準法施行規則第24条の7に定められており、労働者ごとに①時季②日数③基準日を記録する必要があります。

時期

年次有給休暇の「時季」とは、労働者が年次有給休暇を取得した具体的な日付を指します。したがって、4月1日、10月19日などと記載することになります。2日以上連続でとる場合には、4月29日~5月2日などと記載しても良いでしょう。労働者からの申出など取得方法別の有給取得日数もすべて記載することになります。

日数

年次有給休暇の「日数」は実際に取得した日数を指しますが、半日単位や時間単位で取得していた場合、それも記載することになります。例えば半日であれば「0.5日」、1時間であれば「1h」などと記載することになります。

基準日

年次有給休暇の「基準日」は年次有給休暇が付与された日のことを指します。1年ごとに付与されるのが通常ですので、1年ごとに管理した方が分かりやすいと思われます。

使用者が有給を取得させるには、時季指定について就業規則に記載する必要

休暇に関する事項は就業規則の「絶対的必要記載事項」であるため、使用者が時季指定をするためには、対象労働者の範囲及び時季指定の方法等について就業規則に記載する必要があります。

基準日を統一したり、計画的付与を導入したりする場合には、就業規則の定めも少し複雑になり、種々の手続も必要になりますので、場合によっては専門家に作成依頼をした方が良いケースもあると考えられます。

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