振替休日と代休は違う?自宅からの移動は労働時間?
休日出勤時の深夜労働の扱い
行政解釈(平成6.5.31基発331号)によれば
「法定休日である日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。したがって、法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合及び法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合のいずれの場合においても、法定休日の日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が3割5分以上の割増賃金の支払を要する休日労働となる。」
とされています。
これによれば、24時までの勤務が休日出勤となり、24時以降の労働は休日出勤とは扱われません。また、休日出勤は時間外労働時間の算定基礎としないので、休日出勤をした日に時間外手当が出ることは通常ありません。(会社が任意で支払っている場合にはもちろん適法ですが)
したがって法律上は
日中帯~22:00 35%割増(休日)
22:00~24:00 60%割増(休日+深夜)
24:00~ 25%割増(深夜)
になるのではないかと考えています。月曜日においては午前0時から労働しているので、その分を足して8時間を超える労働を行なった場合には、別途時間外手当が発生することになろうかと存じます。
詳細な場合分けが必要なケースもあるので一概には言えませんが、少なくとも24:00以降は休日手当は出ません。
振替休日と代休の違い
一般的には「振替休日」と「代休」との違いは、事前に振り替える休日を特定するか否かなので、休日出勤をした際に振替休日が特定されていないのであれば、1週間の総労働時間が40時間を超えている場合には割増賃金が発生します。
なお、仮に振替休日が特定されていたとしても、振替休日が次週以降に入った場合には、当該週は6日勤務となりますので、当該週の労働時間が40時間を超える場合には、この場合でも割増賃金は発生します。
雇用する側からすると、上の図における総労働時間は同じなのに、一番左と一番右では賃金に大きな差が生じるところも重要です。事前の準備がやはり大事ということでしょうか。
強制徴収される親睦会費
親睦会費の控除については、賃金の一部控除である以上賃金全額払いの原則に反すると考えられます。(最高裁平成元年12月11日判決※組合費に関する判決)
一方で労働基準法第24条第1項但書によれば、「法令に定めがある場合」か「労使協定等に定めがある場合」には賃金控除できると定められています。本件のような「親睦会費」について定めた法令はないので、労使協定が締結されている必要があります。また、労使協定は契約上の根拠になるものではないと解されているため、別途就業規則や労働協約、労働者の個別同意などによって根拠づけられる必要があります。本件では、おそらく親睦会における規約があるのではないかと思います。(部署のみの適用のため、就業規則に定めがない可能性が高そうなので)
もっとも、親睦会規約等に規定があるからと言って、本人の意に反して強制的に会費が天引きされるのは違法の可能性があると考えています。これも労働組合の組合費に関するものですが、個々の組合員が中止を申し入れた場合には、賃金からの控除を中止しなければならないとされているからです。(最高裁平成5年3月25日判決)
一方で親睦会に所属している限り、親睦会費を支払う義務はあると言われる可能性はあります。また、親睦会費は親睦のために使われるものなので、払い戻しは受けられません。ただ、脱退の自由がないというのは違法の疑いが強いので、まずは親睦会からの脱退を求める必要がありそうです。
- 労使協定があるかどうか
- 親睦会規約等に親睦会費の給与からの控除を根拠づける規定があるか
- 会計管理や使途がどうなっているのか
を調査した上で、根拠がなさそうであれば脱退及び控除の中止を書面で行うことになるでしょう。もちろん、親睦会からの脱退は「協調性を欠く社員」というレッテルを周りから貼られる可能性があるので、十分に注意してください。
移動時間は労働時間に含まれるのか
一般的に「労働時間」とは、使用者の指揮監督下にあるか否かという基準から判断されます。
通勤時間は会社の支配下にある状況ではないので、労働時間に当たらないと解されています。出張の際の往復に要する時間は、労働時間に算入されないとした裁判例もございますので(横浜地裁川崎支部昭和49年1月26日等)、家から職場までの移動時間は労働時間には含まれないと考えた方が無難でしょう。
もちろん、営業職のように、職場から職場・営業先などへの異動であれば労働時間と判断されることになります。(必要が無いのに職場に寄った場合には労働時間と解釈されない可能性がありますが)
特に最近では新幹線や飛行機でもWi-Fiで作業出来たりするため、本当に「会社の支配下に無い」と言えるかは疑問が残るところですが、現行の法制度下では以上のような整理になっているようです。
副業はどこまで禁止されうるのか
就業規則上、無許可兼業が懲戒事由になっていることがよくあります。そのような定め自体は有効ですが、会社の職場秩序に影響せず、会社に対する労務の提供に支障が生じない場合には、就業規則違反にならないとするのが裁判実務の大勢です。
たとえば、長時間の兼業の場合には、疲労により会社の業務に支障が出る可能性が高く懲戒事由にあたると解され、また、競合他社への兼業や休職中の自営等を行い会社の背信行為が疑われる場合(ノウハウや顧客の流出が懸念される場合)は、会社秩序を乱すとして懲戒事由にあたるとする裁判例があります。
休日のフリマくらいの場合は、内容や時間等にもよりますが就業規則違反になる可能性は高くはないと考えられます。例えば土日に少し在宅のアルバイトをしたりすることもあるでしょうし、会社側は基本的に業務外の私生活を過度に制限することはできません。あくまで、会社の業務に支障が出るほど副業に専念した場合に問題になると考えられます。